賛否も多いPJの新作だが、俺はけっこう感心して観てた。超絶技巧のファンタジーであるとともに、非ハリウッド的決着を恐れずに描いてる。いつにも増して作家性に溢れてます。
以下ネタバレます。
ポイントはこんな感じ。
・「ゴースト ニューヨークの幻」となんら違いのない話なんだけど、主人公スージーは死者の国から下界を見ているだけで、特にメッセージを送るわけではない。ジタバタとあがいたり祈りはするんだけど、物理的には何もできない(最後にひとつだけ行動する)。彼女の死で壊れていく家族が、自主的に再生していく様を見て、自らの死を受け入れるだけの話だ。だって中学生だからね。凶悪な殺人犯も、勇気ある人物の行動で追い詰められるが、警察には捕まらないし、スージーの死体も見つからない。ハリウッド的ではないというのはこの辺で、犯人は偶然バチがあたるだけ、というある意味溜飲のまったく下がらない結末なのだ。
・PJは題材を選んだあと、「死」にこだわって突っ込んでいくような根暗がある。「指輪」の最後しかり、「キングコング」も死ぬのがわかってるから2時間くらいずーっと悲惨だ。「乙女の祈り」「さまよう魂たち」の世界観も死臭に満ちている。「さまよう~」のマイケル・J・フォックスも“引きずってる”人だった。まぁほんとは「ブレインデッド」とかもそうなんだろうけど(笑)。「ラブリーボーン」はそんなPJが満を持して「子供の死」を真剣に描いたというわけだ。
・VFXもものすごいことやってるんだけど、これがもう自然すぎてわからない。死者の国のビジュアルは、ある程度予想はつくけど、下界でのいろいろ(メモ紙、金庫、トゥッチの落下とか)のはまりっぷりの見事なこと。
・で、つまるところ印象に残るのは、スタンリー・トゥッチだったりする。異常犯罪者というアプローチはいろんなタイプを混載させ、それでいて平静を装うサイコ演技の見事さ。凄い人ですよ。彼と妹リンジーの対決は、この映画の最大の見せ場だったりする。おかげでその他の家族はマーク・ウォルバーグ、レイチェル・ワイズ、スーザン・サランドンと大物を並べても、意外にステレオタイプだったりするわけで。
で、問題は……これらの要素がうまく噛み合わなかったことである。みんなプロなので、それぞれ突出したエネルギーをビンビンに発しているんだけど、方向がバラバラでまとまらないために不満が残ってしまうのだ。まぁ観客は年代ごとに感じるものが違うかも知れないので、あまり“決めすぎない”ようにしたのかも知れないが。
ただ、別に惜しいとは思わないのね。これはこれで十分面白かったです。なんか、きっちりまとめて、少女版「ゴースト」か、「オールウェイズ」のようなものになってもらっても困るじゃん。
妹役のRose McIverは、Power Rangers R.P.M.(米版ゴーオンジャー)でゴーオンイエローをやってらっしゃいます。

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